餃子の王将社長射殺事件

President of 'Gyoza no Ohsho' Shot dead



発生日時:2013年12月19日 木曜日 午前5時46分頃

発生場所:京都府山科区 王将フードサービス本社前 駐車場

被害者:大東隆行(おおひがしたかゆき)氏 72歳 男性 王将フードサービス社長

加害者:不明 (未解決事件 2016年3月10日現在)

凶器:イタリア製の.25口径自動式拳銃 (アメリカ製の.25ACP弾薬)

死因:銃創による腹部からの失血死

死亡推定時刻:午前6時頃

発見時刻:午前7時頃

発見者:出社した男性従業員


午前5時38分、大東氏は普段通りに自宅から直線距離で約800m離れた会社へと自身が運転する車(ベンツ)で向かい、5時46分に会社前の駐車場に到着。運転席のある左側から降りてドアをロックした直後、何者かに正面から銃で撃たれ倒れた。午前7時頃に出社した男性社員が、小雨の中車の横にスーツ姿で携帯電話を右手にうつ伏せで倒れている大東氏を発見し病院へ搬送、死亡が確認された。車内を合わせて約110万円の所持金があったが奪われてはいない。


車は東から通りを入り、回り込むように南向きで駐車。現場の状況から犯人は駐輪スペースとなっている建物の死角で待ち伏せて、車が到着したところで接近して犯行に及んだ可能性が高い。建物の影(マル印)から車(バツ印)までの距離は何れも凡そ10mで、数秒で近づける。発砲は被害者の正面から至近距離で4回、うち3発が腹部に1発が胸部に被弾。弾丸も3つが体内から1つが衣服との間から見つかり、現場に残されていた4つの薬莢とも一致している。


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事件が発生した現場を上から見た図


その後の要点を以下にまとめた。


煙草の吸い殻:周辺に落ちていた計十数本の吸い殻の中で、マル印東位置の物に残る唾液から検出したDNAが、九州を拠点に活動する暴力団組員のものと一致。


盗難バイクから硝煙反応:事件発生2ヶ月前の10月に京都府城陽市の民家から盗まれたオートバイを、犯行現場から北東へ約2km離れたアパートの駐輪場で発見し押収。タイヤの型と現場のタイヤ痕が一致し、その右ハンドルからは銃の硝煙反応を検出。


もう1台の盗難バイク:オートバイの発見場所付近にはナンバープレートの付け替えられたスクーターが乗り捨てられており、これも2ヶ月前の同日に京都市伏見区にある飲食店の駐輪場から盗まれたもので、防犯カメラに九州ナンバーの軽自動車から降りてきた人物が乗り去る映像が残されていた。


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イタリア製の小型な自動拳銃と被害者の被弾箇所


ここからは、凶器となった拳銃について筆者が独自に追求する。


.22口径ではなかったか?:当初「.22口径」との情報があったのは、大きさの近い.22LRが日本国内の競技を含めて広く使用されている弾薬であるため見誤り、薬莢がリムファイアー式ではなく雷管を持つセンターファイアー式だった事で、間もなく「.25口径」に訂正したのだろう。弾丸は「殺傷能力を高める加工のない一般に流通するもの」とのことから、ラウンドノーズ形状のフルメタルジャケットで重量が3.24gと推測できる。拳銃で主となる弾丸の直径が9mm以上なのに対し.25ACPの直径は約6.4mmと小さい。


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犯行に使われた.25ACP弾薬の弾丸形状と重量


サイレンサーを使用したのか?:銃声を聴いたという証言が無い(少ない)ことから、拳銃に何らかの消音装置を使った可能性もあるとみられている。しかし.25ACPを使用する拳銃は小型な護身用が主なため、売りである携帯性を犠牲にしてまで消音する必要もなく、サイレンサー対応モデルはまず無い。筆者が行く銃砲店でも.25口径用は見つけられなかった。防犯カメラに発砲炎らしき光(マズルフラッシュ)が映っていた事を基に考えれば、それを覆う消音器を使用した可能性は低いといえる。


筆者が検証 サイレンサー有無の銃声比較


押し当てて撃ち銃声を消した?:接射をすると被害者の衣服にも焼け焦げた痕が残るなどの明らかな違いが出るため、その痕跡が無い以上は接射も無いといえる。銃声を抑える効果もあるが決して高くはない。クッションを使用した筆者の実験では感覚的ではあるが20%程度の減音に留まった。仮に4回全てを押し当てて充分な減音を得たならば、同時にマズルフラッシュも映らなくなる。発射音は.25ACPでも射手の距離では120デシベル位の騒音となり一時期に耳鳴りがするが、冬の早朝、数十メートル離れ窓を閉めて眠っていれば気付かなかったかもしれない。


筆者が検証 .25口径拳銃でクッションへの接射


筆者が描く犯人像は?:銃に初めて触れる者でも至近距離ならば命中させられるため、それだけで「プロの仕業」とはいえない。.25ACP弾薬を使用する小型モデルの装弾数は6〜10発が多いことから、犯人は2〜6発を使わずに逃走した可能性が高い。個人的な恨みは持たず他に依頼者や組織的なものが背景にあると思わせる。逃走に盗難バイクを用意するなど計画的な反面、薬莢やバイクの右ハンドルに発射残渣(硝煙反応)を残しているが、それも「追われることはない」と考えての犯行だったのだろうか。


筆者が検証 .25口径拳銃で照準しない片手撃ち


同事件の報道でこれまでに使用していただいたものやその他の検証映像については、チャンネルの動画一覧からご確認ください。


※この記事は、筆者が2016年12月3日までに目を通した報道と、独自に行った検証や経験から書いているため、不備不足や事実とは異なる場合があります。




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